AIが「使えない」と感じる本当の理由
「AIって、思ったより使えないな」と感じたことはありませんか?
試してみたけど、なんか的外れな答えが返ってきた。 もっとちゃんとした答えを期待していたのに、あたりさわりのない返答しかもらえなかった。 そんな経験、一度や二度じゃないかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。 その「使えない」という感覚、実はAIのせいではないかもしれません。
AIが普及して、たくさんの人が使い始めています。 でも、実際に「これは便利だ!」と感じている人と、「なんか微妙だな」で止まってしまう人に、はっきりと分かれていきます。
この差は、根本的には実はAIのせいではありません。もちろんAIの性能の差による問題は少しはあるかもしれもませんが、ここでは割愛します。また、別の記事で「どのAI(LLM)が最も優れているか」を書く予定です。
さて、便利だと感じる人と微妙だと感じる人の決定的な差は、実は、使い方の「前提」にあるAIに対する考え方の差がとても大きな原因になっているのです。
「AIに聞いたら、なんでも賢く答えてくれる」と思っていませんか? それは半分正しくて、半分は大きな勘違いです。
AIは確かにとてつもなく賢い。 膨大な知識を持っていて、文章も書けるし、アイデアも出せる。膨大な様々な分野のデータを学習し、知識として記憶しています。また、最近AIが東大に合格したというニュースも耳にした人もあるのではないでしょうか。 ですが、AIには一つ、どうしても超えられない壁があります。
それは——「あなたが何を求めているか」は、あなたにしかわからない、ということです。 AIは、あなたの考えを察したり、的確な指示もなしに、問題を解決したり、あなたを良い方法へと導いてくれる存在ではありません。
AIは「鏡」である
少し想像してみてください。
あなたが友人に「なんかいい感じのお店、教えて」と言ったとします。 その友人は困りますよね。
「どんな料理?」「予算は?」「何人で行くの?」「今日?来週?」—— 情報がなければ、あたりさわりのない返答しかできない。
「イタリアンとかどう?」みたいな、的外れかもしれない提案しかできない。
AIも、まったく同じです。
あなたが曖昧なことを投げれば、AIは曖昧なことしか返せません。 あなたが具体的なことを投げれば、AIは具体的なことを返せます。
これは、AIが「賢い」かどうかの話ではなく、コミュニケーションの本質の話です。
AIは鏡のようなものです。 あなたが映し出したものを、増幅して返してくれる。 でも、鏡は「あなたが映していないもの」は映せません。
ここで一つ、問いかけさせてください
あなたはこれまで、AIに何を投げてきましたか?
「ブログの記事を書いて」 「メールの返信を考えて」 「この件について教えて」
こんな感じの、ふわっとした指示が多くなかったでしょうか?
その「ふわっと」が、「なんか使えない」という結果を生み出していたとしたら?
実は、これはAIに限った話ではありません。 人間同士のコミュニケーションでも、まったく同じことが起きているんです。
曖昧さは「思考の未完成」のサイン
ここで少し、私たち自身の脳の話をしましょう。
何かを誰かに伝えるとき、言葉にできないということは、実は自分の中でも整理できていないことが多いんです。
「なんとなくこんな感じのものが欲しい」 「うまく説明できないけど、こういうイメージ」
このとき、あなたの頭の中には、まだ「霧」がかかっています。 考えが、完全な形になっていない。
でも、多くの人はその霧がかかったまま、AIに投げてしまいます。 そして霧がかかった答えが返ってきて、「AIって使えないな」と感じる。
これは、AIに問題があるのではなく、自分の思考がまだ固まっていないというサインなんです。
これは批判ではありません。 むしろ、これを知っているかどうかで、AIの使い方がまったく変わってきます。
「具体的に言う」って、どういうこと?
ここで、「じゃあ具体的に言えばいいんでしょ」と思った方——半分正解です。
でも、ただ「具体的に」と言われても、何をどう具体的にすればいいかわからないですよね。
ポイントは3つです。
① 「誰に」「何のために」を決める
まず、目的を明確にしましょう。
たとえばこんな違いがあります。
曖昧な指示: 「ブログ記事を書いて」
具体的な指示: 「30代の会社員で、副業に興味があるけど時間がない人に向けて、スキマ時間でできる副業の始め方を、やさしい言葉で1000文字くらいで書いて」
同じ「ブログ記事を書いて」でも、返ってくるものはまったく違います。
「誰に」「何のために」「どんなトーンで」「どれくらいの量で」—— これを揃えるだけで、AIの返答は劇的に変わります。
② 「自分はどう思うか」を先に言う
AIに丸投げするのではなく、まず自分の考えを先に伝えましょう。
曖昧な指示: 「このメールの返し方を教えて」
具体的な指示: 「取引先からクレームのメールが来ました。私としては謝りつつも、こちらに非がない点は丁寧に伝えたいと思っています。そのバランスで返信文を考えてください」
自分の「意図」「方向性」「こだわり」を先に伝えることで、AIはあなたの考えを補強してくれる存在になります。
ゼロから考えさせるより、あなたの思考を整理・補完するパートナーとして使う——この感覚が大切です。
③ 「気に入らなかった点」をフィードバックする
AIとのやりとりは、一回で終わりにしなくていいんです。
返ってきた答えが「なんか違う」と思ったら、その「何が違うか」を伝えましょう。
「もっとカジュアルな文体にして」 「前半の説明が長すぎるから、半分くらいに短くして」 「最初の例はわかりやすかったけど、後半の例が難しすぎた。もっとシンプルに」
こうやって会話を重ねていくことで、AIはどんどんあなたの意図に近い答えを出せるようになります。
人間と話すのと、まったく同じ感覚です。
「AIに聞く前」にやるべき、たった一つのこと
ここまで読んで、「結局、AIを使う前に自分でちゃんと考えないといけないのか……」と感じた方もいるかもしれません。
でも、これは逆に捉えてください。
「AIに投げる」という行為は、自分の思考を整理する最高のトレーニングになります。
AIに何かを伝えようとすると、自然と「何を伝えたいんだろう?」と考えるようになります。 その過程で、自分の頭の中が整理されていきます。
つまり、AIを使えば使うほど、あなたの「言語化力」「思考の整理力」が鍛えられていくんです。
AIを使いこなすことは、自分自身の思考力を鍛えることと、イコールなんです。
「スコトーマ」を外す——あなたが気づいていなかった本当の問題
少し難しい言葉を使いますが、「スコトーマ」という概念をご存知ですか?
スコトーマとは、直訳すると「盲点」のことです。 脳が「重要ではない」と判断した情報を、無意識にフィルタリングしてしまうこと。 つまり、見えているのに、見えていない状態のことです。
(※もともとは医学用語ですが、認知科学や脳科学の世界でも使われる概念です)
「AIって使えない」と感じていた人の多くは、実は「自分の伝え方が問題かもしれない」という視点がスコトーマになっていました。
そのスコトーマが外れると、世界が変わります。
「AIが答えてくれないのは、私の質問が曖昧だったからかもしれない」 「もっと具体的に伝えたら、違う答えが返ってくるかもしれない」
この視点の転換が、AIの「使えない人」と「使いこなせる人」を分けているんです。
実際に試してみよう——「前」と「後」の比較
ここで、実際の使い方の例を見てみましょう。
【テーマ】副業を始めるためのアドバイスが欲しい
Before(曖昧な質問): 「副業について教えて」
→ AIの返答:副業の種類、メリット・デメリット、注意点……みたいな一般論が返ってくる。役には立つけど、「で、自分はどうすればいいの?」という疑問は残ったまま。
After(具体的な質問): 「私は会社員で、平日は夜8時まで仕事があります。休日は土曜日だけ自由時間があります。文章を書くのは得意ですが、プログラミングはわかりません。月に3万円くらい稼げれば満足です。この条件で、今すぐ始められる副業を3つ教えてください。それぞれ、始め方の最初のステップも教えてください」
→ AIの返答:あなたの条件に合わせた、具体的な副業と、今日からできる最初のアクションが返ってくる。
この違い、わかりますか?
AIの能力は、どちらの場合も同じです。 変わったのは、あなたの質問の精度だけです。
まとめ——AIは「賢い道具」ではなく「賢いパートナー」
AIは、あなたの代わりに考えてくれる機械ではありません。 あなたと一緒に考えてくれる、パートナーです。
パートナーに「なんか良い感じにして」と言っても、うまくいきません。 「こういうことをしたい。こんな条件がある。こういうイメージ」と伝えてはじめて、最高のパートナーシップが生まれます。
「曖昧なものを投げると、曖昧なものしか返ってこない」——
この一言を覚えておくだけで、あなたのAI活用は今日から変わります。
AIに壁打ち相手になってもらう
その際に、AIという最強の対話相手を活用するのも一つの最適な手段の一つです。
記事にその方法とメリットをまとめたので、気になる方は是非読んでみてください。