「努力すれば報われる」
そう言われて育ってきた人は多いと思います。
でも、正直なところ── 心のどこかで、こう感じたことはないでしょうか。
「努力してるのに、全然報われない」
「自分には何か足りないんじゃないか」
「そもそも、何を努力すればいいのかわからない」
もし、そう感じたことがあるなら、この記事の内容は、きっとあなたに響くはずです。
また、この記事を読み進める上で、ものすごく大事な「言葉の定義」を先に明確にしておきます。
「努力」と「注力」──は、まったく別物です
僕たちが普段使っている「努力」という言葉。よく考えるとHave-to(〜しなければならない)の行為を指していることがほとんどなのです。
「勉強を努力する」
「仕事を努力する」
「我慢して努力する」
共通しているのは、外側から求められているからやっている、ということ。学校に行かなきゃいけない。テストで点を取らなきゃいけない。上司に言われたからやらなきゃいけない。
つまり「努力」の正体は、Have-to(外発的な義務感)で自分を動かす行為なんです。
一方で、人間には内側から湧き上がる欲求もあります。
お腹が空いたらご飯を食べる。眠くなったら寝る。これらは「頑張って食べよう」「努力して寝よう」とは言いませんよね。 Want-to(〜したい)──内発的な動機で、自然とやっている行為だからです。
では、ゲームに没頭しているとき。好きな音楽を何時間も聴いているとき。気づいたら夜中まで趣味に熱中していたとき。
あなたは「努力」していましたか?
していないはずです。気がついたらやっていた。時間を忘れていた。頑張ろうとすら思わなかった。
この状態を、この記事では「注力」と呼びます。
「努力」=Have-to。外から押されて、歯を食いしばって進む行為。「注力」=Want-to。内側から引っ張られて、気づいたら没頭している状態。
この2つは、見た目は似ているけど、脳の中で起きていることはまったく違います。そして、人生を書き換える力を持っているのは、「注力」のほうです。
結論から言います。
「努力の量」ではなく、「Want-to(本気でやりたい)」──つまり注力が人生を変える。
しかもこれは、精神論でも自己啓発でもありません。脳の仕組みとして、科学的に説明がつく現象です。
そしてそれを、人生まるごと使って証明した人物がいます。
名前は、トッド・ローズ(Todd Rose)。
GPA0.9──ほぼオール1に近い成績で高校を中退。10代で2児の父となり、生活保護を受けながら、時給4ドル25セントで棚卸しの仕事をしていた男です。
その男が、最終的にたどり着いた場所。
ハーバード大学教授。
しかも、「個人の科学(Science of the Individual)」という新しい研究分野を切り拓き、ベストセラーを何冊も世に出し、 シンクタンクまで設立しています。
「バグだろ」と思いますよね。
でも、バグじゃない。 彼の人生には、再現可能な原理が隠れています。
この記事では、トッド・ローズの人生を時系列で追いながら、その裏側で起きていた「脳のメカニズム」を解き明かします。
そして最後に、僕自身の話もします。10年間体が動かず、まともに働けなかった人間が、
どうやって今、自分の事業を立ち上げるに至ったのか。
ローズの物語と、僕の物語。スケールは全然違うけど、根っこにある原理は同じです。
読み終わる頃には、「Want-to」という言葉の意味が、まったく違って見えるはずです。
第1章:どん底──「平均」から完全に外れた10代
トッド・ローズは1974年、アメリカ・ユタ州オグデンで生まれました。
田舎町の、ごく普通の家庭。でも学校では、最初からうまくいきませんでした。
小さい頃から落ち着きがなく、問題行動を繰り返していた彼は、
中学時代に美術の授業中、先生が黒板に背を向けた隙に 悪臭爆弾を6発投げつけて停学処分を受けています。
──笑い話のようですが、本人にとっては「居場所がなかった」ことの表れです。
高校に入っても状況は変わりませんでした。最終学年でのGPAは、0.9。4段階評価でいえば、ほぼ最低ラインです。
校長は彼の両親にこう告げたそうです。
「この子が卒業できる可能性は、文字通りゼロです」
結局、ローズは高校を中退。そしてほどなく、当時の彼女(現在の奥さん)の妊娠が判明します。
18歳。高校中退。子供が生まれる。しかも仕事は、デパートの棚卸し。時給4ドル25セント。
その後、2人目の子供も生まれ、家族4人で生活保護を受けながら、最低賃金の仕事を10個以上掛け持ちする生活に突入します。
社会的に見れば、完全に「詰み」のポジション。
普通なら、ここから先に「ハーバード」という単語が出てくる余地はありません。
でも、ここで一つ、重要なことを言わせてください。
ローズは「能力がなかった」わけではない。
彼の持っていた特性が、当時の教育システムでは評価されなかった。ただ、それだけです。
これは後に彼自身が科学的に証明することになるのですが、
人間の能力は一次元では測れません。
テストの点数が低くても、知的好奇心が爆発的に高い人はいる。教室では問題児でも、別の環境では信じられないパフォーマンスを発揮する人もいる。
ローズはまさに、そういう人間でした。
でも、18歳の彼にはまだ、それがわかっていませんでした。
第2章:覚醒──Want-toが発火した瞬間
人生の転機は、ある一言から始まります。
どん底のローズに、父親がこう言ったそうです。
「もし今より良い人生が欲しいなら、自分が本当にやりたいことを見つけて、そこから離れるな」
シンプルな言葉です。 でもこの一言が、ローズの中で何かを変えました。
彼はGED(高卒認定試験)を取得し、地元のウェバー州立大学に進学します。夜間クラスから始めた大学生活。 2人の子供を抱え、生活保護を受けながらの通学。
普通に考えれば、厳しすぎる状況です。
ところが──
最初の1年でオールA。学業奨学金を獲得。そして最終的に、GPA3.97で「年間最優秀学生」として卒業。
0.9から3.97へ。
これ、同一人物の話です。
「いやいや、急に頭良くなりすぎだろ」と思うかもしれません。でも、頭が良くなったわけじゃない。
彼は変わっていない。変わったのは、「環境」と「前提」です。
高校時代のローズは、画一的なカリキュラムの中で、
自分に合わない学び方を強制されていました。 だから能力が発揮できなかった。
大学では、自分のペースで、自分の興味に従って学ぶことができた。その瞬間、封じ込められていた能力が一気に解放されたわけです。
ここで起きていたことを、もう少し深く掘り下げます。
第3章:脳の中で起きていたこと──RAS・スコトーマ・エフィカシー
ローズの「覚醒」を理解するために、
ここで脳科学の話を少しだけさせてください。
キーワードは3つです。
RAS(網様体賦活系)──脳のフィルタリングシステム。人間の脳は、毎秒膨大な量の情報を受け取っています。
でも、その全部を処理していたら脳がパンクする。だからRASが「何に注意を向けるか」を選別してくれているんです。
例えば、「赤い車が欲しい」と思った途端、街中で赤い車がやたら目につくようになった経験はないでしょうか?
赤い車が急に増えたわけじゃない。RASが「赤い車」を重要な情報として拾い始めただけです。
スコトーマ(心理的盲点)──見えているのに見えないもの。
RASが「重要じゃない」と判断した情報は、文字通り見えなくなります。 目の前にチャンスがあっても、脳がそれを「無関係」と判断すれば、 あなたの意識には上がってこない。
エフィカシー(自己効力感)──「自分はできる」という確信。
これはただのポジティブシンキングではありません。 自分のゴールに対して「自分はそれにふさわしい人間だ」と 脳が本気で信じている状態のことです。
この3つの概念を体系的に解説しているのが、
認知科学者・苫米地英人(とまべち・ひでと)博士です。
苫米地博士は、カーネギーメロン大学で計算言語学の博士号を取得し、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに師事した研究者であり、オウム真理教の信者の脱洗脳にも関わった、日本ではかなり異色の経歴を持つ人物です。
著書は200冊以上。「脳と心の仕組み」「洗脳と脱洗脳」「コーチング理論」を軸に、「人間の認識がいかに環境とプログラミングによって制限されているか」を
一貫して説き続けています。
苫米地博士の理論の中核にあるのが、「Want-to」と「Have-to」の区別です。
Want-to=心の底から「やりたい」と感じること。Have-to=「やらなければならない」と外部から強制されること。
博士の理論では、Want-toの状態にあるとき、脳は以下のように動きます。
RASが「ゴールに関連する情報」を優先的に拾い始める。スコトーマが外れて、それまで見えていなかったチャンスや人脈が見えるようになる。
エフィカシーが高まり、行動が自然と最適化される。
つまり、努力している感覚すらなく、自然と注力し続けている状態になる。
逆にHave-toの状態──「やらされている」「やらなきゃいけない」という感覚のときは、 脳はブレーキをかけます。
集中力は上がらず、創造性も発揮されない。
パフォーマンスが落ちるのは、意志が弱いからじゃなく、 脳の仕組みとして当然の結果なんです。
さて、トッド・ローズの話に戻しましょう。
高校時代のローズは、完全にHave-toの状態でした。
興味のない科目を、合わないペースで、画一的な方法で学ばされていた。 脳がブレーキを踏むのは、当たり前です。
でも大学に入り、自分の好奇心に従って学び始めた途端──
Want-toにスイッチが入った。
RASが書き換わり、スコトーマが外れ、エフィカシーが上がった。
0.9から3.97への跳躍は、根性の話ではなく、 脳の設定変更の話なんです。
第4章:ハーバードという頂点へ──「自分に合う場所」を見つけた男
ウェバー州立大学をトップで卒業したローズ。でも、彼の旅はまだ始まったばかりでした。
もともと神経科学に興味があった彼は、大学院への進学を考え始めます。そのとき目に留まったのが、ハーバード大学教育大学院で
カート・フィッシャーという教授が立ち上げた
「Mind, Brain, and
Education(心・脳・教育)」プログラムでした。
フィッシャー教授は、「平均値を使った研究が
人間の理解に深刻な問題を引き起こしている」ことを実証していた研究者。
ローズはこう思ったそうです。
「まさにこれだ。これが自分のやりたいことだ」
でも、一つ問題がありました。
ハーバードがどの州にあるかすら、知らなかった。
ユタの田舎で育ったローズにとって、ハーバードは
テレビの中の出来事のような存在だったのです。
しかも、出願料は120ドル。ラーメンで食いつないでいた家族にとって、それは大金でした。
ローズは出願を諦めかけます。でもここで、奥さんがこう言ったそうです。
「出さなかったら、一生後悔するよ」
──出しました。 そして、受かりました。
家族で車に荷物を積み込み、ユタからマサチューセッツまでの大陸横断ドライブ。
到着初週に息子が交通事故で怪我をし、 翌日にはボストン小児病院、そのまた翌日には新入生オリエンテーション。
オリエンテーションで周りの学生が自己紹介を始めます。
「私はエール出身です」「ヨーロッパで自分探しをしてきました」「名門プレップスクールの卒業生です」
ローズは自分の番でこう言いました。「syllabusesを配ってもらえますか?」
全員が彼を見ました。(ちなみに”syllabuses”は文法的には正しい複数形なのですが、 ハーバードでは”syllabi”と言うのが一般的だったようです)
お金がなくて自分で髪を切り、失敗して丸坊主にした状態で
オリエンテーションに参加した彼は、ここでもまた「異質」でした。
でも、ローズは折れなかった。
ハーバードで修士号、そして博士号を取得。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターでのポスドク研究も完了。
最終的に、ハーバード教育大学院の教授として採用されます。
ここで冷静に考えてみてください。
ハーバードの教授になるということは、世界中のトップ研究者との競争を勝ち抜くということです。 数十年単位の研究実績と、革新的な理論の構築が求められる。
しかも彼は、「平均なんて意味がない」という理論で評価された。
つまり、既存のルールを壊す側として、そのルールの頂点に立ったわけです。
第5章:『平均思考は捨てなさい』──「あなたは平均じゃない」という科学
ローズがハーバードで構築した理論は、2015年に『The End
of
Average(邦題:平均思考は捨てなさい)』として出版されます。
この本の主張は、シンプルだけど強烈です。
「平均的な人間は、存在しない」
これ、感覚的な話じゃなくて、数学的な事実なんです。
ローズが提示した「個性の3原則」を、 できるだけ噛み砕いて説明します。
① ジャグドネス原則(Jaggedness Principle)──才能はデコボコしている
人間の能力は、一つの数値では測れない。
たとえば、IQテスト。
同じIQスコアの2人がいたとして、
片方は言語能力が高く空間認識が低い。 もう片方はその逆。
一つの数字にまとめた時点で、 その人の「本当の姿」は消えてしまいます。
ローズはこれを「ジャグドプロファイル(デコボコの輪郭)」と呼びました。
全員がデコボコしていて、そのデコボコのパターンは一人ひとり違う。
だから「平均的な人間」は、統計の中にしか存在しない幻なんです。
② コンテクスト原則(Context Principle)──性格は固定されていない
「あの人は内向的だ」「この子は数学が苦手だ」
こういう決めつけ、よくありますよね。でもローズの研究によれば、人間の行動特性は文脈によって変わります。
ある環境では消極的な人が、
別の環境では驚くほど積極的になることがある。
つまり、性格というのは「固定された属性」ではなく、
「環境との相互作用」で変わるものなんです。
ローズ自身がまさにそうでした。
高校では「ダメな生徒」。大学では「最優秀学生」。
同じ人間が、環境が変わっただけで、真逆の結果を出した。
③ パスウェイ原則(Pathways Principle)──成功への道は一つじゃない
赤ちゃんが歩けるようになるまでの発達プロセスを研究した
カレン・アドルフという研究者がいます。
彼女の発見によると、歩行に至るまでの経路は少なくとも25通りあった。
ハイハイをしない赤ちゃんもいれば、 ズリバイから一気に歩き出す子もいる。
つまり、「正しい順番」なんて存在しない。
「速い=頭がいい」「遅い=ダメ」という思い込みも、ローズの研究で明確に否定されています。習得に時間がかかる人と、すぐにできる人。最終的な到達点には差がないことが、データで示されている。
この3つの原則が示しているのは、一つの真実です。
あなたが「平均」から外れているのは、欠陥じゃない。 それが、あなたの本来の姿なんだ。
第6章:『ダークホース』──誰にも予測できなかった成功者たち
ローズの研究は、さらに発展します。
ハーバードで「ダークホース・プロジェクト」を立ち上げ、共同研究者の神経科学者オギ・オガスとともに、
「誰も予測しなかった成功を収めた人々」を何百人もインタビューしました。
高校中退から天文学者になった女性。
プリンスのレコーディングエンジニアを務めた後、大学教授になった女性。 学位も資格もないのに、特定の分野で圧倒的な成果を出している人たち。
ローズはインタビューを始める前、「きっと共通の性格特性が見つかるだろう」と予想していました。
反骨精神とか、リスクを恐れない性格とか。
ところが、結果は予想を完全に裏切りました。
共通の性格特性は、なかった。
内向的な人もいれば外向的な人もいる。リスクを取る人もいれば、慎重な人もいる。
性格のタイプは、文字通りバラバラでした。
では、何が共通していたのか?
「充実感(fulfillment)」を最優先にしていたこと。
つまり、全員が「Want-to」で動いていた。
地位でもなく、年収でもなく、他人の評価でもなく、「自分がこれをやりたいから、やっている」 という感覚を起点にしていた。
ローズ自身、最初は戸惑ったそうです。
「そんなフワッとした答えが本質であるはずがない」と。定量研究者としてのプライドが、それを認めたがらなかった。
でもデータは、繰り返しそれを示していた。
充実感が先にある。 そこから、卓越性が生まれる。
これが『ダークホース』の核心です。
そして、苫米地博士が「Want-to」と呼んでいるものと、完全に一致しています。
第7章:「でも、現実は甘くないでしょ?」──Want-toが難しい本当の理由
ここまで読んで、こう思っている人もいるんじゃないでしょうか。
「理屈はわかった。でもWant-toで生きるなんて、現実的じゃないよ」
その気持ち、めちゃくちゃわかります。
「やりたいことで食えるのは一部の天才だけ」
「まずは生活を安定させてから」
「好きなことだけやって生きていけるほど世の中甘くない」
こういう声は、周りからも、自分の内側からも聞こえてきます。
でも、ここで一つ、冷静に考えてみてください。
その「現実的じゃない」という判断は、本当にあなた自身のものですか?
苫米地博士の理論では、これこそが「洗脳」です。
親から、学校から、会社から、社会全体から、「普通はこうあるべきだ」「レールを外れたら終わりだ」 というメッセージを、何万回と受け取ってきた。
その結果、あなたの脳は
「Want-toで生きるのは危険だ」という前提をインストールしている。
これがスコトーマの正体です。
「やりたいことがわからない」のではなく、「やりたいことが見えないようにプログラムされている」んです。
ローズが『平均思考は捨てなさい』で指摘した「標準化の契約(Standardization Covenant)」も、本質的には同じことを言っています。
「いい学校に行き、いい会社に入り、決められた道を進めば、安定と幸福が手に入る」──という社会契約。
でもローズの研究が示しているのは、 この契約が「ほとんどの人にとって機能していない」という事実です。
なぜなら、全員が違う「ジャグドプロファイル」を持っているのに、
全員に同じ道を歩かせようとしているから。
サイズの合わない靴を履いて走れと言われているようなものです。
走れないのは足が悪いからじゃなく、靴が合っていないだけ。
ここに気づくと、世界の見え方が変わります。
「普通じゃない」ことは、弱点ではなく、武器になる。
ローズはそれを「ダークホース」と呼びました。
苫米地博士の言葉を借りれば、
「Not
Normal(ノットノーマル)であることこそが、最も自然な状態」です。
「普通」に違和感を感じているとしたら、
それはあなたの感覚が正しい証拠です。
そして、その違和感の奥にこそ、 あなたのWant-toが隠れている。
第8章:なぜWant-toは「誰にでも」使えるのか──脳の可塑性という希望
「ローズは特別な人だったんでしょ?」 「自分には無理だよ」
そう思う人に、もう一つだけ伝えたいことがあります。
人間の脳には、可塑性(かそせい)という性質があります。
簡単に言うと、脳は何歳になっても変われるということ。
ちょっと前まで、脳科学の常識は
「脳は20代で完成し、あとは衰退していく」というものでした。 でも、最新の研究はそれを完全に否定しています。
新しい神経回路は、何歳でも形成される。新しいスキルは、何歳でも獲得できる。
新しい自己イメージは、何歳でもインストールできる。
これは希望的観測ではなく、神経科学で繰り返し確認されている事実です。
つまり、30代だろうが40代だろうが50代だろうが、「自分はこうなりたい」というWant-toを設定した瞬間から、 脳はそのゴールに向けて再編を始める。
RASが書き換わり、スコトーマが外れ、 エフィカシーが上がり始める。
ローズが大学で「別人」になったのは、脳が変わったから。そして脳が変わったのは、Want-toが発火したから。
この順番が重要です。
「能力を上げてから挑戦する」のではなく、「Want-toを先に設定すれば、能力は後からついてくる」。
これは、ローズの人生が証明しているし、
ダークホース・プロジェクトで調査した何百人もの人生が証明しているし、 苫米地博士が理論として体系化している。
あなたにできない理由は、一つもありません。
第9章:僕の話──10年間体が動かなかった人間の「Want-to」
ここで、僕自身の話をさせてください。
トッド・ローズの話を書いている僕──奥村
東(あずま)──も、「平均」から大きく外れた人生を歩いてきました。
高校は進学校で、偏差値は62くらい。もともと数学が好きで理系を選び、情報工学に進むつもりでした。
でも、高校時代からずっと、心の中にモヤモヤがあった。
「自分は何者なんだろう」「この心のざわつきは何なんだろう」
その答えを探して、高校の頃から心理学系の本を読み始めていました。そして高校2年で進路が確定するとき、 気づいたら心理学部を選んでいた。
理系から文転。周りには驚かれました。
でも今思えば、あれが僕にとって最初の「Want-to」でした。
数学も好きだったけど、 「自分の心の仕組みを知りたい」という欲求のほうが、圧倒的に強かった。
信州大学人文学部心理学科に進学。21歳のとき、大学で苫米地英人博士の著書『夢をかなえる洗脳力』に出会います。
正直、最初は著者近影を見て「怪しい人だな」と思いました(笑)。でも読んでみると、とんでもなく頭のいい人だということはすぐにわかりました。
ただ、当時はそこまで深く読み込む余裕がなく、
大学時代は出会っただけで終わります。
その後、大学時代には良いこともありましたが、今でいうブラックバイトに入ってしまったため、個人経営者が経営するお好み焼き居酒屋でしたが、本当にストレスフルな毎日でした。結局3年生になった時期から大学の勉強も思ったものとは違い、またアルバイトの方が忙しくなったのもあり、さらにブラックバイトの素晴らしいw洗脳教育も相まって、結局大学の授業には全然出席しないようになり4回生の学年になるときに1年間休学し、そして翌年に自主退学をしました。
その後も1年間引っ越しのアルバイトをしたり地元に帰って派遣のアルバイトをしたりしていましたが、「自分が今後何をしたいのか」「どのように生きてきたいのか」がわからず、派遣の日々を続けていました。そして27歳のある日、時給につられて日勤と夜勤の交代制の派遣に就業したのですが、それがきっかけで、もともと体がデリケート気味な僕は、自律神経が完全に壊れてしまいました。
診断名は、身体表現性障害でした。簡単に言うとうつ病や双極性障害の体バージョンみたいないとこのような病気です。24時間体に痛みが発生し本当に地獄のような日々でした。
文字通り、動けない。ベッドから起き上がれない日が続く。仕事に行けない。何もできない。
そこから約10年間、まともに生活することすらままならない時期が続きました。
ただし、その10年間は、ただの「空白期間」ではありませんでした。
体が動かない中、少しずつその回復する過程で、僕は自分自身と向き合う時間を大量に手に入れ、30代前半から、再び苫米地博士の書籍を少しずつ読み始めました。結局、100冊以上はのめり込むように読破してしまいました。
そして、そこで理解したことが、僕の人生を根本から変えてくれたと感じています。
忍耐は美徳だとずっと思って生きてきた事、だからこそWantToが中々見付けられずにいた事、そして「普通でなければならない」という洗脳に、がんじがらめにされていました。
10代~20代は、劣等感もひどく抱えていたように思います。もちろん周りから見ればそうではないように見えたかもしれませんが、ずっと心の中にぽっかり穴が空いたような、そんな感覚をずっと持っていたのを今でも覚えています。
結局10年後、やっと週2からコンビニで4時間のアルバイトから社会復帰を始めました。そこから少しずつ日数を増やし、
フルタイムで働けるようになり、
さらに月40時間の残業にも耐えられる体力をつけていきました。
27歳で病床に伏し、体力的な意味でも人生0からのスタートをきった僕は、日々体力向上のために注力し、WantToのゴールに向かって42歳の今も爆進中です笑 またこの辺りの小生の自伝的?ストーリーはいつか記事にできればと思っています笑
そして2026年、着想から8年は経っていると思います。ようやく念願の起業へ辿り着く事ができ、「Noe Shiftica」を屋号名として活動をスタートしました。
GPA0.9からハーバード教授になったトッド・ローズと比べたら、
僕のスケールなんて微々たるものです。
でも、原理は同じです。
Want-toが発火して、RASが書き換わって、スコトーマが外れて、それまで見えていなかった世界が見え始めた。
僕が10年間動けなかったのは、「体力がなかったから」だけじゃない。
脳の設定が、「動かない」に最適化されていたから。
その設定を変えたのは、苫米地博士の理論と、自分自身のWant-toでした。
第10章:あなたのWant-toを見つけるために
ここまで読んでくれたあなたに、最後に伝えたいことがあります。
トッド・ローズの物語も、僕の物語も、特別な才能の話ではありません。
脳の仕組みに従っただけの話です。
そして脳の仕組みは、あなたの中にも同じように備わっています。
RASは、あなたの脳にもある。
スコトーマは、あなたの認識にも存在している。
エフィカシーは、あなたの中で上げることができる。
脳の可塑性は、あなたが何歳であっても機能している。
「でもWant-toが見つからない」
そう感じるなら、それはWant-toが「ない」のではなく、
スコトーマに隠されているだけです。
苫米地博士の言葉を借りれば、「Have-toに囲まれた生活をしていると、
Want-toは見えなくなる」。
「やらなきゃいけないこと」でスケジュールが埋まり、「こうあるべき」で思考が縛られ、「普通はこうだ」で選択肢が狭められている。
その状態では、Want-toは見つかりません。探しに行く必要があるんです。
具体的にどうすればいいか。
まず、自分が「楽しい」と感じる瞬間を、正直に認めること。
「こんなことで楽しんでる場合じゃない」とか 「こんなの仕事にならない」とか、 そういうジャッジを一旦全部外す。
ローズのダークホース・プロジェクトでは、これを「マイクロモーティブ(微細な動機)」と呼んでいます。
大きな夢や壮大なビジョンじゃなくていい。
「なぜかこれをやっているとき、時間を忘れる」
「理由はわからないけど、これに惹かれる」
「誰に言われなくても、つい調べてしまう」
そういう小さな「引力」の集積が、あなたのWant-toです。
そして、もう一つ。
「Not Normalであることを、許可してください」
普通じゃないこと。レールを外れていること。 周りと違う道を選ぶこと。
それは「失敗」ではなく、あなたのジャグドプロファイルが、画一的なシステムに合わないだけ。
ローズが証明したように、合わないシステムから出たとき、人は信じられないパフォーマンスを発揮します。
あなたの脳には、そのポテンシャルが最初から備わっている。諦める必要なんて、1ミリもない。
最後に: Want-Toで幸せが広がっていく
トッド・ローズは、GPA0.9の高校中退から、ハーバード大学の教授になりました。
その過程で彼が変えたのは、「努力の量」ではありません。
「自分何が楽しいか」を偶然にも見つける事ができたからです。
スタート地点は関係ない。年齢も関係ない。
学歴も、職歴も、過去の失敗も。Want-Toを見つける時期に早い遅いもありません。
重要なのは、たった一つ。
今この瞬間から、あなたがWant-toを人生に少しずつでもとりいれていくかどうかです。
それだけで、脳のフィルターが変わる。見える世界が変わる。行動が変わる。そして、人生が変わる。
ローズの話は成功者のそれに見えるかもしれませんが、社会的なステータスを達成したから大きな物事を成し遂げたから素晴らしいわけではありません、少なくとも僕はそう思います。
それぞれの人によってWantトゥーは違いがありますし規模の大きさも違いますですが少なくともすべての方にとって言えるのはWantトゥーで生きる事は先のトットローズの調査結果とも合致しますが心の充足つまり人生の満足度幸せはとても満足のいくものになると言うことです。
ローズは、「常識」という道を外れて、自分だけの道を歩いた。
何百人ものダークホースたちも、同じことをした。 僕も、10年間の停滞を経て、同じことをし始めた。
最初は少し不安に感じるかもしれません。
でもその不安は、正常な反応ですし、すでにコンフォートゾーン、つまり慣れ親しんだ常識あら半歩踏み出そうとしている証拠でもあります。
それに気づいた瞬間から、あなたの脳は、すでに書き換わり始めています。
